道路の粉塵
今日はKH邸で、給気のフードを防音型に取り換える工事をさせていただきました。
こちら、国道に多少近いこともありまして、太陽光発電の工事で必要だった足場を利用して、より過ごしやすいんではないかと提案して、サービスでやらせていただきました。
実際それよりも、フィルターの汚れ具合がきつく、半年たってないのにもう厳しい状態。
おそらく粉塵ですね。国道とは、3階建てのビルを挟んで建っているのですが、それでも飛んでくるのでしょう。
お施主様も、まだこんな汚れも、フィルターで取ってくれているのだからありがたいとのこと。ほんとにそうですね。
ご近所のお宅は、窓を開けておられたりしているようですが、そのまま家の中に入っているということですものね。
やっぱり家は、隙間があってもいけないし、24時間換気の有効性も改めて感じました。
今回、フィルターもフリマーフィルターという筒状に繊維が入った強力なものに変えることも前提にあったのですが、こちら音もかなり消音してくれるようで、防音フードと相互作用でよい結果となりました。
今後は、こういった提案もさせていただきたいと思いますね。
気密を考える 3
北陸も梅雨明け宣言が出されて、今年は早い夏がやってきました。
基本的に夏は大好きなので歓迎すべきなのですが、梅雨明けにと考えていた工事も山積していて、また段取りに追われそうです。
さて、気密の話を続けていますが、冬の例を出してなおさら暑い思いをさせてすみません。
暖房に限らず、冷房であっても気密がとれていなければ、エネルギーロスが起こることは言うまでもありません。
それと換気の問題。ここが肝心なところなので何度も書いていることですが、書いておきます。
気密が高いと息が詰まるとか、低気密のほうが空気が入ってきて良いような言われ方をします。
けれど、隙間があると換気するというのは間違い。
風が吹いたり気圧が変わらないと空気は動かないし、ましてや家全体がきれいに換気されるなんてことは、低気密の家ではできないことなんです。
先日メーカーさんの営業さんとお話していましてわかったのですが、その営業さんマンションに住んでいて、家に帰ると今は暑いので、まず換気システムを回すとのこと。
熱気を出してからエアコンをかけるというのですね。ここに問題があります。
その換気システムですが、かなりの風量のようで、それ一つで全体を換気しようという設計でしょう。
これは建築基準法で定められたから仕方なしにつけたようなシステムですね。計算上はそれでOKなのでしょう。
でも、そんな風量のシステムを入れっぱなしにするわけでなく、結局止めているわけです。これは基準法ではOKの話ではないはず。
住む方が悪いわけではないのです。考えが足りない矛盾した法律を作るからこういう風になるのです。
しっかりと断熱・気密をセットでとって、それに計算され換気システムを稼働させる。この基本ができていないとすべて無駄なこと。
気密がたっていれば、少ない風量の換気で家全体を換気できます。それで出ていくエネルギーはわずかなもの。
そういうことをきちんと国がわかっていて指導するようでなくて、なにがエコハウスかという話です。
行政の無責任で、無駄な家づくりがやまない今日を思うと、残念でならない想いですね。
気密を考える 2
今日は昨日のお話の続きです。
気密をとらない施工というのは、断熱材の効果も無意味にしてしまう話。
断熱材とは、「空気の流れを止める」というところに意味があるということ。
それが気密工事をせずに断熱材だけ入れても、空気は動いてしまうわけなので、たとえば数値で表している効果も出ていないことになってしまいますね。
冬に胸元の空いたセーターを着るのと、タートルネックとの違いのようなもので、間違いなく後者のほうが暖かいのと同じだと書かれていました。
隙間から室内の暖かい空気が流れ込むのと同時に、壁の中で冷やされて壁内結露を起こすことも、よく知られている話です。
北欧や寒い国の建物は、その為に外壁面に気密シートを張り巡らせるのが当たり前になっています。(断熱材がグラスウールの場合ですが)
そんな常識があるにも関わらず、気密を悪者あつかいする風潮があるのは、いまだに古い日本家屋をイメージして設計をする頭の固い建築士の皆さんのせいかなと考えます。
自分もまた、そういう頭の固い設計士であったからこそ、あえて言いますが、日本の家づくりをきちんと考え直さないといけないと思います。
自分の固定観念にとらわれず、公平な目で見て、本当に大切なのはどういう家づくりかを未来に残す仕事をする立場から考えていただきたいと思っていますね。
気密を考える 1
今日はまた、日経アーキテクチャーの連載のお話を書きたいと思います。
前真之さんという工学博士の方の書いたコラムですが、ほんとによくぞ書いてくれたという話です。
今回は気密の話。
エコハウスだとか、長期優良住宅とか言いながら、気密のことが理解されていないというか、なおざりになっていることに、とても危機感を感じているところですが、大事なことがしっかり書かれていました。
まず、冬の話になってしまうんですが、暖房で温められた空気というのは、熱気球を飛ばすくらいの威力を持っているということ。
これを家で考えると、温められた空気はどんどん上昇気流を起こして、建物上部に上がっていくのですが、隙間だらけの家は、屋根や壁から我先にとどんどん抜けて行ってしまうというのです。
それだけならいいのですが、抜けて行った分、外の冷たい(=重い)空気が床とか低いところから容赦なく入ってくることになるといいます。
つまり、暖房すれば暖房するほど、低い位置にある居住空間が、逆に寒くなってしまうという現象が起こりえるという話です。
ファンヒーターとか、軽い高温の温風を吹き出すものは特にこうした悪影響が出やすいとのこと。
これは、わかりやすい説明だと感心しました。だからこそ、気密をとることが大事ということが言えるんですね。
これが問題の一つで、続きはまた明日書かせていただきますね。